2020年09月16日
葬儀のあと、遺族や参列者が葬列を組んで死者を火葬場や埋葬地まで送っていくことを「野辺送り」といいます。時代劇などで野辺送りの光景を見たことのある人もいると思いますが、ここで言う「野辺」とは、墓地のことを指していると考えられています。以前、野辺送りはお葬式の中でも重要な役割をもつ儀式の一つでしたが、現在では様々な事情から火葬が主流となり「野辺送り」はあまり見かけなくなりました。ただし、地域によってはこの風習が色濃く残っており、土葬が行われている地域や、一部の山あい、離島などでは現在でも行われているようです。また昔ながらの野辺送りではなく、一部の儀式だけを残している地域もあります。野辺送りは神教、仏教に関係なく行われますが、神教では死は穢れであるとされているため、死霊が戻らないようにわざと遠回りの道を選んで遺体を運んだり、埋葬する前に棺を3回まわして方角が分からないようにしたりするなどの儀式も行われています。
土葬がほとんど行われなくなった現代では、出棺後の遺体は霊柩車に乗せ、墓地ではなく火葬場に運びます。遺族や参列者は自家用車やマイクロバスに乗り、霊柩車の後ろを追走していきます。これも一種の野辺送りであると言えるかもしれません。