施餓鬼はお盆やお彼岸の時期に聞くことの多いものですが、葬儀や法事と比べ、あまりご存じでない方も多いと思います。日本の慣習としてお盆を迎える前に、ぜひ知っておいて頂きたいのが「施餓鬼」です。お盆にお墓参りへ行ったとき、お寺のほうにみんなが集まって法要をやっているのを見たことはありませんか。お盆やお彼岸には、多くのお寺で「施餓鬼法要」が営まれます。
餓鬼とは、亡くなった後に餓鬼道(がきどう)に堕ちてしまい苦しんでいる人たちに、お供え物をしたりお経を唱えたりすることで苦しみを癒してもらう行事です。もっとも、施餓鬼の解釈や、施餓鬼が行われるかどうかは、宗派やお寺の方針によって違います。例えば浄土真宗のお寺では、あまり施餓鬼を行いません。これは、浄土真宗では亡くなれば必ず極楽浄土に行けるという教えからきています。また、曹洞宗では施餓鬼とはいわず、「施食」といいます。卑しいものに施しを与えてあげるという尊大な気持ちを持つことは、仏さまの教えにそぐわないという考え方からです。
施餓鬼は、ご自身のご先祖様のために執り行うものではなく、無縁仏や地獄で苦しんでいる餓鬼に対しての施しとなります。これは、自分自身の徳を積むためであると同時に、広く慈悲の心を持つことで自身のためにもなるとされ、とても大切な儀式となりますので、ご先祖様を供養するときと同様に心を込めて行いましょう。